2010年4月 1日 (木)

AKB48 - 超メディア論

 今のメディア事情を語る時、マスメディアの崩壊とネットの充実ぶりを語るのがフツーだが、最近の「AKB48」の人気ぶりに触れる方がわかりやすのではないかと思い、アイドルユニットの変遷を少し辿ってみる。

 一人一人はそれほどでもないが、女性が大量に集まった時、意外なオーラが発散され、男性にとってまぶしいパワーになることを真面目にコンセプトに仕立てた秋元康。登校・下校途中の女子高生の集団と出くわして、いつもそのことを感じていたということが起点らしい。そしてオールナイトフジの女子高生スペシャルから派生し、平日夕方枠の「夕焼けニャンニャン」で「おニャン子クラブ」が結成されると、このコンセプトは大当たりする。1985年〜1987年の頃だった。この番組はテレビには珍しく「ライブ性」と「素人性」「展開の無限性」を重視していた。片岡鶴太郎がキレル、とんねるずの石橋がキレル、松本小雪が途中で帰るなど、結構、無茶苦茶な空気の中、おニャン子は増殖していった。そしてこれはフジテレビというメディアが主な舞台だった。
 
 そしてその10年後、1997年にテレビ東京の「ASAYAN」で今度はつんくプロデュース「モーニング娘。」が結成される。こちらはオーディションという形態をとり、素人がどんどん訓練され成長していく姿を見ていくという内容だったが、「おニャン子クラブ」のコンセプトであった『女性の集団オーラ』を継承していたように思う。そして後藤真希、石川梨華加入の頃から、「モーニング娘。」はキャバクラ状態となり2004年の卒業ラッシュの後は、パワーも低下していった。ハロープロジェクトはイベントも重視していたが、「モーニング娘。」もやはり、あくまでテレビというメディアを主な舞台としていた。

 しかし、2005年に誕生した「AKB48」は、初めからテレビというメディアに頼らないユニットだった。ネット文化の総本山・秋葉原に専用劇場を持ち、コミュニケーションにはWebが巧みに活用された。振り付けは、「モーニング娘。」と同じ、夏まゆみだったが、『会いに行けるアイドル』として距離感が本当に近くなったユニットだった。最近になって、マスメディアに大浮上し、CM・ドラマにも多く登場しているが、未だ総選挙と称する人気投票などでメンバーはめまぐるしく変わり、いつも支援者のニーズに限りなく近いユニットという個性を維持し続けている。いろいろな話を聞いていると前田敦子(あっちゃん)などが「AKB48」を象徴する人物ではないかと思う。テレビを通して見ると、そんなに際だったものを持たないように見えるが、生で見た人の評価は異常なくらい高い。前田敦子のオーラは生でしか伝わらない部分があり、再びこういうユニットを結成した秋元康は、初期コンセプトである人のオーラ(存在感)をより重視したのではないかと推測する。NHKで「AKB48」の特番が組まれた時、悲惨な視聴率となったが、「AKB48」はもともとテレビ向きのユニットではないのだ。4時間かけて2万人と握手するなど、生のふれあいとネットコミュニケーションが基本の立ち位置なのだと思う。

 「おニャン子クラブ」、「モーニング娘。」と「AKB48」との決定的な違いは何か。メディアをネットにシフトしている限り、世界展開が比較的容易だということがあると思う。言葉の壁はあるが、ライブで圧倒的なオーラを発散させれば、後は各国でネットのバズが増殖していくという利点がある。『生で見たらスゴイんだぜ、このグループ……』

 「AKB48」の活躍ぶりを見ていて、マスメディアはますます衰退していくのかなと実感する。そして秋元康の初期コンセプトへのこだわりぶりに感心する。黒髪と制服への執着ぶりも痛いなと(笑)

 正直、「モーニング娘。」が流行っていた時、秋元康の時代も終わったのかなと思ったが、「AKB48」での復活を見て、『コンセプト』ってあらためて大事なんだよなと考えさせられた。100曲近くある「AKB48」の歌詞を見ると、昔より修辞的な表現は少なくなって、素直な言葉が多くちりばめられている。『会いたかった』という曲、「会いたかった 会いたかった 会いたかった Yes! 会いたかった 会いたかった 会いたかった Yes! 君に…」 なんでもない言葉だが、もし私がライブ会場にいて、最後の「君に…」ってみんなでこちらを向いて言われたら、おそらく私は溶けていることでしょう(笑)

MCAWeb 村山浩之 April Foolに記す

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